通所系サービス利用者でフレイル発生リスク40%低減
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要支援高齢者のフレイル発生率
「通所系サービス」利用で低減
大阪公立大学は7月27日、介護保険制度の要支援1や2に新規認定された非フレイルの高齢者655人を対象に、認定後5年間のフレイル発生と通所系サービスや訪問介護サービスの利用に関する調査を実施した結果を発表した。この研究は、同大看護学研究科の河野あゆみ教授、吉行紀子氏(2020年3月 大阪市立大学看護学研究科 後期博士課程修了)らの研究グループによるもの。研究成果は、「The Journal of Post-Acute and Long-Term Care Medicine」にオンライン掲載されている。
そこで研究グループは今回、高齢者が要支援1や2に認定され、日常生活での手助けが必要になった時、通所系サービスや訪問介護サービスを利用することで、要支援認定後5年間のフレイル発生が抑えられるのかについて明らかにすべく研究を行った。
要支援高齢者655人対象、診療報酬などから5年間のフレイル発生を測定
研究では、大阪府下の3自治体(和泉市、泉大津市、岬町)において、2012年9月~2013年3月に要支援1、2に新規認定を受けた高齢者のうち、非フレイルやプレ・フレイル(フレイルの前段階)であった655人(中央値:79歳、女性の割合:66.6%)を対象に、5年間のフレイル発生を測定した。
測定には、南大阪医療介護(SOHA:the Southern Osaka Health and Aging)スタディの2012年4月~2017年3月の介護報酬および診療報酬データを使用し、介護報酬からは毎月の通所系サービスと訪問介護サービスの利用状況、診療報酬のICD-10による指標でフレイルの程度を測定した。
フレイル発生率33.9%、通所系サービス利用者は発生リスク40%低減
調査の結果、5年間のフレイル発生率は、33.9%(222人)だった。さらに時間依存性コックス回帰モデル解析を行った結果、通所系サービスの利用者は非利用者に比べてフレイルを発生するリスクが40%低減していた(ハザード比=0.60,95%信頼区間 0.42~0.86)。5年間では、通所系サービスの利用者、非利用者ともにフレイルは発生するが、通所系サービスの利用者の方が非利用者に比べて、フレイルの発生が常に低い結果となった。
介護度の重度化予防のため高齢者の通所や外出を促す環境づくりが重要
今回の研究成果により、要支援高齢者の通所系サービス利用に「フレイル発生リスク低減効果」があることが明らかにされた。これは、高齢者が要支援1または2と認定された時点で、通所系サービスや通所系サービスに相当する外出を高齢者に勧めることが大切であることを示唆している。感染予防対策とバランスを取りながら、高齢者の通所や外出を促す環境づくりや高齢者・家族への適切な意識づくりを働きかけていくことが重要だ。
「今回の結果から、要介護認定を受けた後でも介護度の重度化予防のため、家に閉じこもらずに積極的に外に出向くことを推奨する。また、これまで不明だった介護ニーズが低い高齢者への予防的サービスの有用性として通所系サービスの効果が示唆された貴重な知見となった。今後の高齢者ケアに関わる研究や実践への貢献を願う」と、研究グループは述べている。
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