魚の高頻度摂取でプレフレイル減少

フレイル対策は
認知症対策と共通項が有るのは当たり前なんでしょうね




 最近発表されたシステマチックレビューとメタアナリシスによると、地中海食の摂取がプレフレイルのリスク低下と関連することが示されている。魚は日常の食事で取りやすい食品であり、含有する栄養素が身体的フレイルを予防することが示唆されている。しかし、長期にわたる習慣的な魚の摂取とプレフレイルとの関連についてはほとんど分かっていない。


ノルウェー・University of OsloのDina Moxness Konglevoll氏らは、

ノルウェーのトロムソ研究の参加者を対象に、

魚摂取とプレフレイルの長期的な関連を、

前向きコホート研究により検討。

その結果、

魚摂取頻度が高いこと、

および

長期にわたり一貫して頻繁に魚を摂取することは

プレフレイルのリスク低下と関連することを、

BMC Geriatrics(2023年7月5日オンライン版)で明らかにした。


高齢者4,350人を対象にした前向きコホート研究


 トロムソ研究は、
ノルウェー北部トロムソ市の住民を対象に1974~2016年に実施された
7つの調査から成る人口ベースの大規模研究。

 Konglevoll氏らの調査対象は、トロムソ研究の3つの研究、トロムソ4(1994〜95年)、トロムソ6(2007〜8年)、トロムソ7(2015〜16年)の参加者で、フレイルと診断されていない、追跡調査時65歳以上、MMSE 24以上の4,350人とした。魚の摂取状況は自己申告で、赤身の魚(タラなど)、脂肪の多い魚(サケ、マス、サバ、ニシンなど)、これらを合計した魚全体の摂取頻度を月に0〜3回(低頻度群)、週に1〜3回(中頻度群)、週に4回以上(高頻度群)に分けた。なおプレフレイルの評価は、Friedらによる表現型モデルに基づきフレイル、プレフレイルおよび健康に分類した。魚摂取頻度とプレフレイルの長期的な関連性は、トロムソ6に関連する交絡因子を調整して3つの多変数ロジスティック回帰モデル(モデル1は年齢と性、モデル2はさらにBMI、教育、喫煙、活動レベル、自己申告の健康状態、併存疾患、モデル3はさらにサプリメントの使用について調整)を使用し、8年後と21年間の2パターンで分析した。



プレフレイル群は健康群より 女性、高齢、一人暮らしが多い
 

対象者4,350例は、追跡調査時の平均年齢65歳(57〜87歳)、女性が52%を占め、28%(1,124例)がプレフレイルと分類された。プレフレイル群は健康群よりも女性、高齢、毎日の喫煙、非活動的(座りがちな)生活様式、低学歴、併存疾患、一人暮らしの割合が有意に高く、BMIも有意に高かったが、良好な社会的サポートや良好な健康状態の自己評価の割合は有意に低かった。

全参加者の4分の3が
タラ肝油および長鎖オメガ3脂肪酸のサプリメントを使用しており、
プレフレイル群よりも健康群の方がより使用していた。



週4回以上の摂取で8年後のリスクを有意に低減


 トロムソ6をベースライン調査として、まず、赤身の魚、脂肪の多い魚、および魚総摂取頻度と8年後(トロムソ7に設定)のプレフレイルリスクとの関連性を調査した。8年間の追跡期間は予防策を実施しうるという点で臨床的に意義があるという。


 その結果、モデル3において赤身魚摂取、脂肪の多い魚の摂取、魚総摂取の高頻度群ではプレフレイルリスクが有意に低かった(赤身魚:オッズ比0.72、95%CI 0.53~0.97、P<0.001、脂肪の多い魚:同0.63、0.44~0.92、P=0.04、魚総摂取:同0.68、0.52~0.90、P<0.001)。

これらの結果は、サプリメントの使用を調整したモデル3でも同様であった。


21年後のリスクも低減


 さらに、長期にわたる魚総摂取量とプレフレイルリスクとの関連を評価。トロムソ6のモデル3において、21年間(1994~2016年)の追跡期間中に魚を一貫して高頻度に摂取した群(高、高、高頻度または高、高、中頻度の組合せ)では、プレフレイルリスクが低かった(オッズ比0.59、95%CI 0.38~0.91)。


 これらの結果を踏まえ、Konglevoll氏らは「健康的な食事において魚の摂取は重要な役割を果たすと言え、健康的に年を重ねるには積極的な魚摂取を勧めるべきである」と強調している。

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