格差の影響を受ける層ではフレイルを合併する割合が高くなる

新型コロナの更なる変異株の出現により
下記のような研究結果も修正を余儀なくされるでしょう
超高齢社会において、認知症とフレイルの増加は社会的、経済的な分野で多様な形で負担が圧し掛かってきます。個々の高齢者の健康状態・心身機能が個別多様化している状況を踏まえ、本研究では、その健康・心身機能の変化を将来予測するために、橋本教授らのグループが年齢・性・学歴別に13の疾患・機能障害の有病状態を予測するモデルを4500万人以上の60歳高齢者の健康状態データをバーチャルで再現して、ミクロシミュレーションFuture Elderly Modelを開発しました。そして、健康状態や学歴が年々向上している近年の高齢者疫学データをもとに、健康・機能状態の毎年の変化を推計し2043年まで追跡するシステムを開発しました。さらに橋本教授らが収集した国内高齢者パネル調査(「暮らしと健康調査」)の認知機能測定データと、飯島教授らが柏市で実施したフレイル予防のための栄養とからだの調査研究(柏スタディ)の結果から得られたデータをもとに、年齢・学歴・併存症別に認知症とフレイルの有病確率を併せて推計するシステムを開発し未来予測を行いました。

その結果、2016年では認知症患者数は510万人と推計され国の予測とほぼ同じだったが、2043年ではこれまでの国の予測とは異なり、465万人に減るという予測結果が得られました。この解離は戦後世代の高齢者において健康状態や学歴が向上していることや、高齢者の間で年齢・性・学歴による疾病罹患状況の個人差が拡大していることが考えられます。また男女格差・学歴格差が広がることに加え、格差の影響を受ける層ではフレイルを合併する割合が高いことも明らかになり、濃密な介護ケアが必要になるため、介護費総額は増加することが示唆されました。

以上より、社会的意義として、現在、国の認知症対策は治療・予防など医学的な技術開発に重点を置いているが、本研究の結果は、併せて社会格差対策が必要であることを示唆しています。今後の日本社会の持続可能性を高める大きな科学的根拠として、新たな政策立案に貢献することが期待されます。

ざまクリニック所沢のブログ

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